アメリカ留学体験記(2/5)
2.留学して直面した英語力の悲惨さ・・・
さて、なにはともあれ、アメリカ生活が始まりました。夢にまで見たアメリカ留学のスタートは、はたして予想していた通り(以上)に悲惨なものでしたね。もちろん、言語に限定しての話ですが。
例えば、マクドナルドに行く時、注文の表現は前もって頭の中で考えておけるのでなんとかなるのですが、店員の言っていることがとにかくわからない。
なにしろ、最初の「to go? Or here?(お持ち帰り、それとも、店内でお召し上がりですか?)」というところからわからないのですから絶望的です。
レストランに行けば行ったで、ステーキの焼き方を聞かれるところあたりまではなんとかついて行けるのですが、メインの付け合せ野菜やポテトの調理の仕方を聞かれたりされるとこれももうお手上げ。
「yes, same as him(彼のものと同じで)」 の連呼でその場をなんとか繕うわけです。
語学学校の受講手続きの時なども、説明が理解できなくて、いろいろな書類を何度も何度も書き直しさせられる始末。 寮のルームメイトとも意思の疎通の問題で危うく大喧嘩になりそうなことも一度や二度ではありませんでしたね。 この頃は、かなり真剣に
「本当に外国人の話す英語を聞ける日がやってくるのだろうか?」
って悩んでましたね。 瞬く間に3ヶ月が経過しましたが、私の英語力は一向に上達の気配は見えてきませんでしたね。
TOEFLで530点を取れば、大学の学部へすぐに入学できると聞き、早速受験してみましたが、リスニングセクションが案の定ほとんど聞き取れずに450点にも及ばない有様。 結局、またまた大きく自信を失うことになる始末でした。 留学歴が長く英語の相当上手な人達からは、
「テレビのドラマとかニュースとかを毎日できるだけ長時間観るとリスニングが伸びる」
と聞き、早速テレビを購入してみましたが、その後数ヶ月経ってみても効果はなにほども感じられませんでしたね。
「俺は、英語の才能が0なのでは?」
とかなりへこんでいた頃でしたね。とにかく、私にとって、英語のリスニングというのは本当に悩みの種でした。 当時、仲の良かったインドネシアやアフリカからのクラスメイト達とモールに買い物に行ったりしても、店員達と楽しそうに歓談している彼等を尻目に、私は会話に全くついていけないことが多く、いつも頭に来てましたね。 それでも、話題を振られると、悲しいことに、とりあえず笑顔を作ってしまうんですけど。
なんででしょうね。
学校の文法とか読解の解釈のテストとかは私の方が圧倒的に上だったんですけどね。 また、一度など、夜、クラスメイト達と飲みに出かけて帰ってきたとき、寮のガードマンが険しい顔つきで私達に向かって何かを叫んでいるんですよ。 クラスメイト達は、すぐに彼の言ってる事が理解できたみたいで入り口に向かってすごい勢いで走り始めたんですけどね。 私はといえば、ほろ酔い加減でふらふらしていたこともあり、一人だけ相変わらずヨタヨタと歩いているわけです。 もちろん、ガードマンの話している英語など酔いのせいもあっていつも以上に全くわかりませんしね。 そしたら、彼がダッシュで走り寄って来て、私の腕をつかむとすごい勢いで入り口まで引っ張っていくんですよ。ものすごい力でね。殺されるかと思いましたよ。言ってる事は全然わかりませんし。 そうやって寮の中まで連れて行かれてもまだ状況が飲み込めていませんでしたが、その場に居合わせた日本人から
「寮の駐車場内で発砲事件があり、犯人は薬物中毒でまだ辺りをうろうろしているらしい」
と聞かされた時にはさすがに縮み上がりましたね。 酔いなど完全に吹っ飛んでしまいました。
これなどは、いかに私のリスニングが駄目だったかということを表わしているばかりでなく、英語がわからずにアメリカで暮らすことがいかに危険かを皆さんにわかってもらうにも非常に良い例だと思いませんか?