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アメリカ留学体験記(1/5)

1.英会話力ゼロのフリーターから、思いつきで留学生へ変身!

英会話力ゼロのフリーターから思いつきで留学生に変身

高校時代、得意でなければ苦手でもなかった英語でしたが、大学に入り興味が出てきて、ちょっとがんばってみようと思い、ネイティブの教授が担当する語学クラスを選択しました。  

でも、すぐに後悔しましたね。

というのも、全然わかりませんでしたから、言ってることが。

これっぽっちも聞き取れませんでした。クラスに一人帰国子女がいたので、宿題とかテストの範囲とかはいつでも彼に聞いていましたね。ひどいもんです。

 

そんな私ですが、できる、できないは別にして、そもそも英語に興味を持ったきっかけはと言いますと、やっぱり父親の影響ですかね。 いや、別にうちの父親が英語ができたってわけではないんですが。子供の頃からよく聞かされたんですね、

 

これからの世の中、いかに英語が大切になるかって話を。

 

父親はちょくちょく、商社マンで英語の堪能な人達と海外出張(遊びかも?)に出かけていましてね。帰ってくると、その商社マン達が現地で外国人を相手にいかに流暢に英語を操るかって話を延々語るんですよ。 そりゃあ、子供心ながらにも、かっこいいなって思いますよね。 それに父親自身も全然上達はしないものの過去30年以上に渡り、毎朝NHKのラジオ英会話を欠かさず聞いていたり、他の教科はスーパーウルトラ落ちこぼれだった姉も英語だけは学年で数本の指に入るような成績を取ったりするもんですから、私自身も知らぬ間に、ちょっと「英語は大切だぞ」って気持ちが芽生えてきたんでしょうね。

 

大学を卒業する頃はいわゆるバブル経済の絶頂期でして、まさに猫も杓子も「大企業」、「一流企業」へとこぞって就職できた時代でした。 でも、私は、そんな風潮がなんか嫌でしてね。 こう、みんなが右へ倣えみたいな感じで、自分の人生と一瞬たりとも真剣に向かい合うことなく、何の疑問もなく会社員になっていくように見えちゃうんですね。 そうするとますます「俺はああいう人達とは一線を引かなきゃ」って気持ちが強くなっていきましてね。 後になってかなり後悔したりもしたんですけどね。 ああ、就職しとけば良かったって。もう、後の祭りなんですけどね。

 

そんなわけで、ちょっとへそを曲げてしまったんですね。とにかく就職はまだしたくない、なんとかして口実を見つけなくてはいけない。 そこで思いついたのが、「留学」だったんですね。ちょうど当時(1991~2年)は史上稀に見る円高ドル安の最中で、海外留学したい人間には有利な事情もありましたし、子供の頃からの父親の影響で「一度はアメリカを見ておかなきゃだめだ」みたいな確信も根付いていましたし。

 

そういうわけで、卒業してから主に肉体労働系のバイトをこなして、留学資金の足しを稼ぎ、1992年10月にアメリカのカンザス州のウィチタという町の大学付属語学学校へ留学しました。

 

この時、すでに25歳になってましたが、この旅が初めての海外旅行ということもあってか、今思うと滑稽なくらいに緊張しましたね。

理由は第一に飛行機が初めてなので墜落するんじゃないかって心配だったこと、もう一つはやはり「英語力」のことだったんですね。

もともと性格的に尻に火がつくまで腰をあげないタイプなんで、この留学に向けてももっぱらバイトで汗は流した(酒も飲みましたが)けど、肝心の英語の勉強は出発直前1ヶ月まで何もやらずじまい。 なにしろ、いよいよあと1ヶ月という頃になってようやく、留学斡旋団体が主催する「出発直前英会話特訓」なるもののに申し込んだくらいですから。 でもその特訓というのが、これがまたひどい有り様なわけです。というのは、講師のアメリカ人の言ってることが笑ってしまうくらいに聞き取れないんですからね。

 

もうレッスンになりゃしないんです。 もちろん、大学卒業してからとりたてて勉強してたわけでもないので、そんな大学時代に聞き取れなかったものが、その時になって突然聞き取れるようになっているわけもないのですが。

 

結局、出発前会話特訓を取って多少なりとも自信をつけようって思ったのが大きな間違いでしたね。 でも、まだこの頃は、その後自分の英語がいかにしつこくリスニングに悩まされることになるかということには幸か不幸か気づいていませんでしたけど。